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いよいよ生命倫理について議論すべきとき

 先月、アメリカブッシュ大統領が法案の発行に対して初めての拒否権を発動したのをご存知だろうか。その法案とは「ヒトの胚性幹細胞(ES細胞)研究への連邦助成を拡大する法案」だ。理由は、ES細胞を作る過程で体外受精などで余った胚や中絶された胚が壊される(≒ヒトの基を壊す)ためで、「科学研究のために命を奪うという道を、選ばないだけのこと」だという。日本ではなぜこんな大事な事が大きく報道されないのだろう。早稲田大学の科学技術ジャーナリスト養成プログラムMAJESTyには是非がんばってもらいたいものだ。(実は初回シンポジウムに参加してるのですが、紹介遅れてます。今度します。)


 話が横道にそれた。実は今月に入ってこれに関連していくつ新たな動きがあった。記事を三つ列挙する。


 個人的にはヒトクローンの研究に対しては大筋賛成である。しかし、今この日本においてこの議論が十分なされているとは思わない。欧米と違い、日本では生命生い立ちと宗教が結びついていないので仕方の無い一面もあるが、それにしても少なすぎると思う。


 まだまだ技術的にはハードルは多いと思うが、2番目の方法でヒトのES細胞を作ることが出来たとき、それは皮膚の細胞からその人の臓器を培養できることを意味する。はたしてそれが許されるのか、あるいは複数作ったものを選別したとき、選ばれず捨てられるものは生命ではないのか。そして、経済力の差で寿命が決定付けられることになる。それはどこまで許容できるのか。ヒト胚を壊すという倫理的な問題が解決できそうとはいえ、技術的なハードル以外にも議論しなければならないことは山ほどある。


 そして、議論が進まないということは、この分野での日本の研究速度を遅くすることになるし、何よりも、ES細胞由来の治療法でしか治らない病気を抱えている人の多くはこの研究の進展を望んでいる。韓国の黄教授の事件(→理系.info: 科学者の倫理感)もありアジアではこの分野の研究は日本が一番進んでいる。キリスト教的な解釈ではなく、アジア的な発想でのこの問題に対する回答を世界に対して示す義務を負っているのではないか。


 全国民のこの問題に対する理解・議論を強く望むし、それに対するジャーナリズムの役割は大きいと思う。


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