理工系争奪戦
最近の新聞紙上をにぎわせているのが、企業が大卒の採用人数を増やしているという記事だ。大卒の争奪戦は2006年入社から、学生の売り手市場に変わり、2007年ではさらにその傾向が強まるという。就職を希望する大学生の数は微増しているものの、企業の採用予定数がバブル期に相当するほど大幅に増えていることが大きな原因だ。
企業が採用を増やす理由としては
- 団塊の世代が退職する2007年問題への対策
- 景気回復傾向が鮮明になり、企業が投資するフェーズに入っている
- 就職氷河期と言われた2000年前後入社の人員の凹みを補うため
今日3月4日の日経新聞朝刊には、製造業の採用予定数が理工系学生(先日触れた機電系学生以外でも→理系.info: 機電系学生の就職)を中心に大幅に増えていると指摘している記事が掲載されていた。そして、その時の競争相手が製造業内だけでなく銀行を中心とした金融機関に広がっているという。記事のまとめとして
業績低迷に苦しんだり、待遇や知名度で劣ったりする製造業などは苦戦が必至。バブル期の1989年、金融機関が理系の人材を争う事態に、当時の鈴木永二日経連(現日本経団連)かいちょうは「製造業が理系学生を採用できないのはどんなものか」と批判した。当時の構図が今また再現されそうな雲行きだ。
これを僕は「理系の地位が向上している」状態とは思っていない。金融機関にとって大学で勉強した知識を生かせるのはITや金融工学など一部の分野に限られている。実際、金融機関に就職した学生の多くが文系で就職した学生と同じ仕事をする。
これは単に理系のポテンシャルである「論理的思考能力」を買っているにすぎない。そもそも、文系でも訓練すれば論理的思考能力は鍛えることができる。日本全体にとって理系学生が大学で学んできた基礎的な能力を発揮する場が与えられていない(学生が選ばない)ということは大きな損失だと思う。
もちろん、就職する先は個人の意思に任されるべきだし、個々の製造業の会社が学生にとって魅力的な職場とアピールできていないことや、十分な条件を提示できていないことが原因と捉えることもできるだろう。しかし、その奥には社会全体が理系職種を尊敬していないという問題が潜んでいる気がする。
その問題を解決することが真の「理系の地位向上」である。
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